新斎苑、債権放棄の反対集会に参加しました

2021年 03月 19日

18日(木)19時〜21時、「新斎苑の用地買収の問題を考える会」が主催する「債権放棄の反対集会」に参加しました。

司会進行は今治周平弁護士、スピーカーは山下真弁護士、石川量堂弁護士、川井徳子氏、三橋和史市議です。

会場には約100名の参加者、メディア関係者が来ていました。

(ちなみに山下真弁護士は元生駒市長、前回2017年の奈良市長選に出馬して、仲川市長に約2,000票差で負けたことも事実として記しておきます。)

お時間がある方は、裁判の判決や詳細がこちら にまとめられていますので、ご確認ください。 

集会で聞いたこと、市民目線で感じたことを簡単にまとめさせていただきます。
法律面、経緯の流れは、私の理解不足な面もあるかと思います、訂正や修正点があれば、ぜひご指摘ください。

簡単な経緯とは

現在の東山霊園火葬場は大正5年(1916年)に建設、今では100年以上経過し、度重なる改修工事をしてきたが限界がきていた。

年間賃料だけでも1,000万円かかっている。

1960年ごろから地域住民から移転の要望があり、いろんな候補地が挙がったが、いざ近くに火葬場の建設計画が発表されれば、周辺住民の反対が起きて、たらい回しにされてきた。

近年動き出したのは、2007年藤原前市長が今回問題となった「横井町の新火葬場」への移転計画を発表してから。

2009年仲川市長が市長選で当選、計画は白紙撤回される。別の場所である奈良ドリームランド跡地を計画。

しかし周辺住民の反対運動で白紙撤回となる。

仲川市長が過去に白紙撤回した藤原前市長案「横井町の新火葬場」への移転計画を改めて発表した。

そして、2018年奈良市議会に移転計画が提出され、条例案が可決した。(市議39名中、反対は三橋市議を含む6名のみ)

何が問題なのか

高すぎる購入価格、不動産鑑定価格の3倍

鑑定 463円/m2 → 独自の算定額 1,514円/m2

実際に使用するエリア5.8ha → 11ha と2倍の面積を購入した結果、鑑定価格 2700万円 → 1億6700万円で購入することになった。

その土地には産業廃棄物があり、その撤去だけで1億4000万円もかかる。

その交渉を職員が同席せず、市長が地権者とクローズな場で契約をまとめた。

最初から3億円が念頭にあり、独自の評価額を算定して調整したのでは?という指摘。

合併特例債を活用しており、費用の70%は国が費用を出している、奈良市だけの問題ではなく、日本全体へと広げてしまった。

大阪高等裁判所の判決では、市長の裁量権の逸脱濫用が認定されて、地権者2名と仲川市長は1億6400万円の損害を与えたと認定。

その裁判にかかる弁護士費用約500万円も、市民の税金から支出が続く。

これから何が起きるのか

自治会連合会の会長・梅林氏から、奈良市内の各自治会有志約40名を合わせた「債権放棄の陳情書」が提出される見通し。

「陳情書の内容」は仲川市長や奈良市がしてきた主張とほぼ同じで、市が指示した動きでは?という指摘。

自治会長と言っても、奈良市民35万人の総意ではないこと。

スピーカーの石川弁護士は、過去自治会に研修名目で補助金が使われ、温泉地への旅行、飲食が行われていた事実があり、当時訴訟を起こしたという。

もし債権放棄されれば、大阪高裁の判決である仲川市長と地権者2名に対して1億1640万円の損害賠償を請求するよう命じたものを、奈良市は「損害賠償の債権まで放棄する」ことになる。

その債権が放棄されてしまえば、穴埋めは奈良県全体で負うことになり、荒井県知事も「政治的にはおかしい」と発言している。

最後のまとめ、感想

2時間という短い時間でしたが、弁護士、奈良地裁 元委員、県議、市議のみなさんが、分かりやすく説明をしてくださいました。

次の機会があれば、ぜひみなさんも参加して欲しいです。

「火葬場」は市民にとって誰もが避けて通れない道、奈良市には絶対に必要なものですが、長年決めることが出来なかった難しい問題でもあります。

その問題に終止符を打った仲川市長と地権者が損害を与えたとして賠償を命じられたことは残念です。

市長、地権者、市役所、自治会、市長反対派、市民、県民まで巻き込む大きな問題になってしまった。

約100名参加された今回の集会には、仲川市長の市政運営に反対する立場の方が多くいる印象をもちました。

今回の問題とは直接関係がない反対意見や、次回の選挙はみんなで違う人を市長に通すぞ!という声もあがっていました。

あまりに次の選挙の話が続くので「今日はそういう話を聞きに来たんじゃない!」というヤジも・・・。

反対ばかりではなく、ある方から「通常よりも高い費用がかかっているとはいえ、この問題は長年かけて取り組んできた。反対していた議員も賛成に回ることがあったり、みんな納得できない中でも必死に解決に向けて動いてきた。火葬場の移転計画を早く進めていくべきだ」という声もありました。

近年ついに意見をまとめて、自治会・地域住民の理解、議会の多数決を経ても、大阪高裁から損害賠償を認定されてしまう。

税金が食い物にされた、利権だと指摘する声と、次の市長選を見据える人たちの政治的な動きが見え隠れする。

難しい問題ですが、私は市民の税金が無駄に遣われてしまったのであれば「反対の立場」です。

その経緯、課題も含めて市民にオープンに公開できる契約をする必要があった。あと5年、10年をかけてでも、移転計画を進めるべきだと思います。